花火

ミッシングの花火のネタバレレビュー・内容・結末

ミッシング(2024年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

とりわけ今年は傑作ADV「未解決事件は終わらせないといけないから」があっただけに、似たモチーフが展開されつつクオリティの低い本作はかなり観ていてしんどい。石原さとみのいかにも「熱演しています」な演技がノイズ。失踪した娘を目撃したとか警察を騙って娘が保護されたと伝えたとかのいたずら電話が入ってくるわけだけれど、それらは画面どころか音声としても描写されないため、結果として像に結びつかない。いやもちろんそれらは顔のない悪意を表現したいというのは分かるのだけれど、じゃあそれを本当に描写せず映画でやったとして、それはただ脚本の都合で動かされているだけだよね、っていう(だってこれはフィクションなのだから)。この映画でいちばん悪意の表現に成功しているのは、ビラを丸めて地面に転がすことでイメージカットを撮れないか背景で模索している細川岳だよね。それと後半に自分の娘と同じような形で他所の子が行方不明になったことを知った石原が周囲に無理を言ってその子の捜索チラシを撒き、結果として無事に帰ってきたその子の親から感謝されるくだりがある。この場面でなんだか他人に親切にすることの大切さを訴えようとしている雰囲気があるのだけれど、そもそも石原は「この件がもしかしたら自分の娘の事件と同一犯かもしれない=娘が帰ってくるかもしれない」と完全に利己的に動いていたのであって、それをいい話風に持っていくのはものすごく嫌悪感がある。それと「『さよならテレビ』でも観た?」という感じの、中村倫也が軸になるマスコミの話がそこそこの比重で語られるため、石原の方の話と焦点が重ならずどちらも食い切らない中途半端さがある。
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