TANAKA

ミッシングのTANAKAのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.7
ネタバレ走り書き


『空白』『神は見返りを求める』がとことん刺さっていたので期待値が爆上がりしていたけれど、
時代を反映しつつ、人間が人間に対して向ける視線や言葉や感情の痒いところまで手が届く感は今作も。

石原さとみが個人的には違和感でずっと浮いている気がして、監督がトーク番組やインタビューで愛嬌も込めて?ニガテであり且つ一緒に壊したいと言っていた意味が作品に存在していて、
芝居を超越した浮遊がある種そのままスクリーンを通っているからそれで良いのだと納得。

砂田の板挟み感と、キャラクターに何となく今監督が伝えたいメッセージが乗っている気がするし、それでいて砂田が掲げる信念が次第に沙緒里家と接近する事で湾曲する構造は苦しくも見事に感じた。メディアの報道は視聴率を優先しする害悪である事もあるし、そうして降りてきた情報を全て鵜呑みにしている我々も同様に劇中セリフであるように、もうすでに狂っている世の中なのかもしれないと恐怖。

深く掘られないが、シゴデキ後輩・駒井と新人女子アナの関係ももうワンカットくらいあって良い気がした。

冒頭の娘の回想が終わりタイトルが出て以降
ほぼ娘が出てこないのが結末への暗示に感じた。警察署にて大崩壊する沙緒里のシーンから急展する流れが面白く、金銭面の乏しさを挿入しているのはリアル。弟・圭吾がミスリードであるあるサスペンスにならず良かった。
中盤くらいの青木崇高の喫煙所での涙が良くて(後半類似事件の親との接触)ビラ配りも良かった。石原さとみとアプローチがきちんと違い好きになった。

見たくなくても見てしまうと激怒する沙緒里には共感する。クソが!と思いながら結局時間を溶かしてしまう時がある。


ただ、個人的には『空白』がベスト。
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