MasayukiShimura

ネクスト・ゴール・ウィンズのMasayukiShimuraのレビュー・感想・評価

4.3
人生に浮き沈みはつきもの。ちょうど沈んだときにタイカ・ワイティティ監督の映画と出会った場合、それはちょっとした幸運と言って良いんじゃないかと思っています。

世界最弱という「汚名」(あえて括弧書きにします)を背負った米領サモアのサッカー代表チーム。そこに乗り込んでくるのは過去の成功から抜け出すことのできない意固地な監督。どう考えても組み合わせの悪いこの両者が、ぎこちないながらも絆を強めていく様子に心が自然と温まりました。

2020年のマイ・ベストがワイティティ監督の"ジョジョ・ラビット"だったのですが、この監督は「弱者やはぐれ者がもう一度前を向く」というのを撮るのがやっぱり上手い。本作も押し付けがましくなく、しかし確実に心の琴線に触れてくるセリフや演出が、傷んだ人々の背中を「なんとかなるさ」と優しく押し出してくれるような一本でした。

97分というコンパクトな尺でありながら、観終わった後の充実度がことのほか高かったです。
MasayukiShimura

MasayukiShimura