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ネクスト・ゴール・ウィンズのピポサルのレビュー・感想・評価

4.4
人間は何歳になっても成長できるし素直に前進することを背中から押してくれる映画。トーマスが心ここにあらずの状態にあることを見透かし、勝敗やゴールよりもまずは個々が幸せであるほうが優先されること、過去ではなく目の前に幸せを見つけることを諭すサッカー協会会長、マネージャーとして超優秀だろ。ゆったりと時間が流れる環境で自身の幸福を優先しつつサッカーにもきちんと向き合う選手たちもいい。

具体的なトレーニングや指導、試合内容は必要最低限にとどめてあえてスポ根やお涙頂戴に偏りすぎないようなバランスになっているからサッカーに馴染みのない観客でもスッと世界に没入できる。白人はスピリチュアルに弱いみたいな皮肉に加え、90分強という尺も最高。終盤にトーマスの知られざる事情が明かされるが、それによってこれまで考え方の変化は詳細には描かれなかったものの心の揺らぎがあったことに納得感が生まれる。
父親としてのマイケルファスベンダーもいいけど鬼コーチと言われる所以となる悪態をつくマイケルファスベンダーもなんだかファニーで魅力的だった。
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