いち麦

キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩のいち麦のレビュー・感想・評価

5.0
ポーランド人、ユダヤ人、果てはドイツ人の子どもまで匿うウクライナの心優しい音楽家夫婦の運命。子どもたちが身を潜める家の中に次々と押し入ってくる者がどの国の兵士なのか、目まぐるしく変わる状況変化に頭をフル回転させながら見入った。自分の歌で他人の幸福を呼べると信じ切っている少女ヤロスラワの美しい歌声と大胆な行動のアンバランスがハラハラさせる。

ポーランド、ドイツ、ソ連に翻弄され踏み躙られてきた西ウクライナの一地方(イヴァーノ=フランキーウシク)の悲惨な歴史が窺えるドラマで見応えあった。ナチス・ドイツの非情さはもとより、それよりも戦況に乗じて如何様にもウクライナを搾取しようとするソ連(ロシア)の卑劣さが強く滲み出ていた。
いち麦

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