瀬口航平

ナショナル・シアター・ライブ「ベスト・オブ・エネミーズ」の瀬口航平のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

先行上映にて。
全然今日観る予定じゃなかったんだけど、トークイベント付きなのに席がまだ空いてることがわかったので一時間前に予約。

最初のほう、ちゃんと面白く観れるか心配だったけど、徐々に面白くなってきた。
討論のシーンを観ていて違和感を感じた。。なんというか、すごく大事な本質が無くなってしまってる感じ。。相手に勝とう勝とうとするあまり、感情的になり、冷静な判断ができなくなり、無用な争いをしてしまってる。良いこと言ってるように見えるけど、そう見せかけてるように感じたし、ただのこき下ろしに見えるとこもかなり多い。それで視聴率が上がって話題になったら喜ぶ、みたいな。。なんなんだこれ、、ってなった。

しかもめちゃめちゃ話題になったから、彼らの争いが二人だけのものではなく、国全体で起こってしまい、世界が荒れるという。。誤ったメディアの使い方すぎる。。。

未来の記者を出すとこ面白い。
未来ではこうなってる、というところで過去の人物たちがどんなことを思ったのかが知りたかったけど、そこは観客が想像するとこか。

誰かに見せて話すのではなく、ただ話すこと、それが討論でしょ?みたいな台詞あったけど良い台詞だと思った
テレビが公的な力を持ってる時代は過ぎ去り、現代はもっと力が分散され、内面化してる、というところに、あーたしかにってなった。より多面的になってるんだろうな。だからこそ、自分の生きる世界でどう在るかが大事なんだろうな。

誰かに観られているからこそ、良く見られるために相手をこき下ろして下に置くことで自分の評価を高めるとかしちゃう。そしたら喧嘩するよね。。もっと自分のプライドとかそういうのが関与しないタイミングとか場所で討論したほうがいいんだろうな。

だからこそ、最後のほうの討論?話し合いは、とても良かった気がする。
人生を終えた後にした会話だったからこそ、相手の言葉を冷静に、深く受け止めて、自分とも対話しながら会話してた。
討論って言葉がもうなんか、討伐する論議、みたいな言葉になってるからそこからもうなんか違う気がする。。

テレビ局側の人とかシカゴの市長とかの役がかなりおバカな感じで演じられてる。意図的だろうし、頭が足りない愚かな人物としてそういう造形をしたんだろうけど、個人的にはあまり好きではないかも。。確かにそのほうが作品のテーマを伝える上ではすごくわかりやすいのだけど、キャラクター化しすぎてて人間らしさが見いだせないのがあまり好みではない感じ。でもそれでもいいのかな。。ある意味人間らしさの見えない役どころな気もするし。
瀬口航平

瀬口航平