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ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語のnaoのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

セットデザインがひたすらに美しい。背景と同化させた椅子や黒子、スクリーンなど、隠す気の微塵もないメタ構造が良かった。ヘンリーは善人でも悪人でも無い富裕人で、彼が主人公である理由は、彼が超能力を手に入れるからという一点に尽きるようにすら思える。彼は”余裕とお金さえあれば善行を行うであろう”気まぐれで自己中心的にならざるを得ない人々の象徴として描かれる。原作がロアルド•ダールである理由は、彼が悪人にはならないという非現実性、つまり子供向けの小説として描かれる点にあると思う。”I said””He said”と小説そのままに台詞を無理矢理入れ込む演出も意図的。

今作に真面目な人は1人も登場しない。ヘンリーも、もしかしたらアンダーソン自身ですら世界を斜めに見るような視点に”もしかしたら世界を真面目に捉える価値など無いのかも知れない”と救われる思いがした。ある意味で「アステロイド•シティ」の進化形だった。
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