ユート

HOW TO BLOW UPのユートのレビュー・感想・評価

HOW TO BLOW UP(2022年製作の映画)
3.7
ポスターに惹かれ、あらすじを見てるみるとエコテロリストが石油のパイプラインを爆破する話だと?こういう反骨精神剥き出しの映画は好きだけど、取り扱っている内容が内容だけにどのように着地をさせるのか、とても楽しみにしていた本作。

期待以上の出来で大満足。

まず観てて退屈させない演出と見事な編集によるテンポの良さ。108分とそもそも上映時間が長い部類ではないが、体感は60分程度と終始のめり込んでしまった。音楽もカッコよくてスタイリッシュな印象。

物語は爆破計画の前日から始まり、実行に至るまでの間で個々のキャラクターのバックグラウンドが回想シーン的に挟み込まれる。スター級のキャストがいないけれど、回想シーンのおかげでそれぞれのキャラクターにしっかりと感情移入させられる。

シンプルに面白い!とは言いづらいテーマではあるが、実際に資本主義に搾取され、人生を狂わせられた人たちがいるし、政府や企業が動かないのであれば、自ら行動を起こすしかない。そんなキャラクターたちに共感する一方で彼らをヒロイックに描いたり、観客にカタルシスを容易に感じさせないバランスもほど良く、鑑賞後も色々考えさせられる。

彼らの行動は正義か。それともテロリズムという悪なのか。少なくとも怪我人は出さないということと爆破の影響で環境を汚染させないことを考慮した計画は、目的のためには手段を選ばないかつての野蛮行動とは少々異なると感じる。Z世代ならではの建設的な破壊行為なのだろうか。

期待値をゆうに超えてきた良作。
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