千年女優

花腐しの千年女優のレビュー・感想・評価

花腐し(2023年製作の映画)
2.5
廃れる一方のピンク映画を生業にする監督で、かつて愛した女優の突然の駆け落ち自殺に消沈する栩⾕。家賃滞納を見逃す代わりに取り壊しの決まったアパートに居座る伊関の元へ立ち退きを申し出に尋ねた彼が、昔は脚本家志望だった伊関と意気投合し、酒を飲みながらそうとは知らずに同じ女を愛した思い出を語る様を描くドラマ映画です。

ベテラン脚本家で近年は監督業にも積極的な荒井晴彦が、東京大学で教授の道を進む傍ら文学作家としても活躍する松浦寿輝の2000年上期芥川賞受賞作を中野太と独自の解釈で映画化した作品で、綾野剛と柄本佑がさとうほなみと織成す物語を、現在はモノクロで過去はカラーの映像と『火口のふたり』らに続いて大胆な濡れ場と共に描きます。

短編小説からエッセンスを抜き出して一人の女優を巡る映画志す男たちの想いを巡りますが、芸事を志す男にありがちな女に苦労をかけたエピソードをナルシスティックに語る「クズ」アコガレの古臭くて陳腐な物語に陥っています。オチもまた又吉直樹著作『劇場』と似通っていて、それで「朽ちて尚」とドヤられても困ってしまう一作です。
千年女優

千年女優