Shiojesus

花腐しのShiojesusのネタバレレビュー・内容・結末

花腐し(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

まず有権者の皆様にお伝えしたいことは、「カラオケ行こ!」を見た直後に見るべき映画ではない!ということなんです。

綾野剛演じる栩谷(くたに)、同じ女を愛した柄本佑演じる伊関(いせき)。この2人による祥子(さとうほなみ)との思い出語りによって物語は構成されているのだが、まあこの2人の男としての負け犬具合が素晴らしい。

冒頭で結果(祥子が自分以外の男と心中したこと)がわかっている点を除いたとしても、かつて自分を心の底から愛してくれた女がいたという事実に対する現在の自身の腐りっぷりは他のカップル倦怠モノの追随を許さない。しかもその2人が邂逅して傷を舐め合うってんだからもう言うこと無し。まさに120点の人間クズ達の完成形だと言える。

そこをどうにかこうにか美しい思い出で、という意図であのカラオケデュエットシーンがあったのだと思うのですが、冒頭に申し上げた通り、「カラオケ行こ!」の歌唱シーンが連想されてしまうのである。和山先生、マジかよ。(いや和山先生のせいじゃあないんだけも)

とはいえ2人の超演技派による仕事ぶりの素晴らしさもあって、映画単体としての出来は最高水準のそれそのもの。友人にゲリラ花屋を営む花泥棒なる人物がいるのだが、花が腐っていく、枯れていく様子も含めて花を愉しんでほしい、という願いがあるそうで、なるほどこの映画を見ていると、荒れ果ててしまった今があるからこそ華やいでいたあの頃の美しさが際立つのだなあと、理解ができる。

今手にしている後悔が大きければ大きいほど重く、暗くのしかかる大変良い映画。

あとおっぱいがd…そんな気持ちにもなれない大変良い映画。
Shiojesus

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