Shiojesus

オッペンハイマーのShiojesusのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

すみませんちょっと船を漕ぎながらだったので見終わった後の反芻タイムで(あれ…合ってるよね?こーゆーストーリーだったよね?)となってしまい、初めて考察動画をYouTubeで見て復習したんですが、合っててホッとしました。やっぱりちゃんと長尺を映画館で見る時は前日に夜更かししたらだめですね。反省。

さて本編ですが、主人公であるオッペンハイマーを演じるキリアン・マーフィのシリアス過ぎる顔と研究に対する情熱のあまりこいつあんま良いやつじゃあないぞと気付くまでに時間がかかりました。そして同じマジックが我らがトニーことロバート・ダウニー・Jr.にもかかっていたようで、それだけに終盤のあの表情には心底驚かされました。さすがトニー。あんたほんと嫌なやつだね。(褒めてます)

表情に圧倒された場面で言うと、グローヴス大佐(マット・デイモン)の「いや暗殺するから(大丈夫)」と平然と言い放つシーンや、パッシュ大佐(演ケイシー・アフレック)が「ロシア式の拷問をするべき」と無表情で徐々にオッペンハイマーを詰めてくシーンなんかは見ていておれなら脇汗顔汗びしょびしょになるんだろうなあと思いました。

ただこれらの男どもの鉄の表情を凌駕する顔を見せてくれたのがオッペンハイマーの妻キティ(エミリー・ブラント)と不倫相手のジーン・タトロック(フローレンス・ピュー)。

キティと幸せな家庭築くのかな〜と思ったら育児ノイローゼxアルコール依存症の二重詠唱で夫を追い込むキティ。対するジーンは精神科医のくせにバチバチにメンヘラ気質で真面目クズのオッペンハイマーに(やむを得ん!会いに行くしかない!)とクズ行動を起こさせるけど、その妖艶さは本物で、(いや〜、これはちょっとしょうがないんじゃあないか…?)と心の中で白旗あげさせられたのも束の間、あの狭い一室での弔問会で夫の情事を聞かされた時のキティのあの表情よ。

男たちの「正義」なんかよりよっぽど恐ろしかったです。

そして文字通り丸裸にされるオッペンハイマーの虚空を見つめるあの目。なんかこう…脇汗がどうとか、空気が凍るとか、そういうんじゃあなくて、遠くで耳鳴りがしてて、あとは何にも聞こえないし、なんも見えない。そういう感じでした。

掲げるテーマ故に日本人なら見ておくべき、みたいなお題目が掲げられがちですが、こと役者の表情という切り口で語っていくと、これは極上のエンターテイメントと言えるのではないでしょうか。

ぜひ次回はたっぷりと睡眠を取った後に今回とは違った角度で楽しみたいと思います。

あとおっぱいが出てくるから男子は全員見た方がいい。
Shiojesus

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