この信長像を演じ切った加瀬さんの演技に痺れる。能を眺める信長が溢したセリフが印象的だし、「みんな戯け」という薄っぺらく聞こえてしまいそうなセリフに重みを与えるキャラクター造形が凄まじい。北野組一同、アドリブ交え緩急のある演技の殴り合いだった。コレが一発撮りなのか…。タケシさんと大森さんの掛け合い、最高っす。
プロデューサーや角川サイドのゴタゴタで映画としての強度が…という記事も読んだけれど、この混沌とした感じ、嫌いじゃない。
ポリコレを意識したような風体でありながらしっかり差別的だし、凄惨で痛快な世界がありありと描かれていた。本人が出てるのだから分かって当然なんだけれど、コレだけ誰が撮った映画なのか。監督の表情が浮かんで来る映画もまた珍しい。
カンヌの目を気にしつつ、気にしすぎず。このバランス感覚で間違いないと思う。でも、何にも気にしねぇぜってくらい、名声も外聞も捨てたゴリゴリの北野映画も見てみたい気持ちはある。
次回作も楽しみだし、生涯映画を撮り続けてください！
