yookieco

PERFECT DAYSのyookiecoのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
-
2023年の映画初めは、この作品と決めていた。
穏やかな雰囲気の映画で新しい年を始めたいと思っていたからだ。そんな気持ちとは裏腹に、元日の能登半島地震、2日の今日は羽田空港での事故…大変な一年のスタートになってしまった。

SNSでは被害の状況と共に、北陸新幹線の運行再開や、航空機乗客全員の脱出など、迅速な対応が流れてくる。日本のインフラは本当にすごい。
有事の時も、平時の時も、誰かが日々の暮らしを支えてくれている。感謝の想いを抱いていたところに、PERFECT DAYSで役所広司演じる渋谷区のトイレ清掃員・平山の姿が、えらく胸に沁みてしまった。やっぱり本作を最初の1本にして良かったと、素直に感じた。

たまたまTBSで放送されていたVIVANT一挙放送を見てから映画館に向かったため、ノゴーン・ベキも平山も実在する人物にしか見えなくなる役所広司の演技に改めて感動。無口な男という設定の平山を、その佇まいと表情で豊かに演じて観客を惹きつける。エンドロール長回しで見せるアップの表情が、彼の人生全てを物語っているようだった。

これは令和版LOST IN TRANSLATIONだ。
20数年ぶりにようやく、外国人の思い描く東京に、新たなオプションが加わったかもしれない。
渋谷区のさまざまな公共トイレはもちろん、下北沢のレコードショップや古本屋、どこか分からない居酒屋やスナックなど、平山が暮らし働き癒される場所を訪れてみたくなった。

ヴィム・ベンダース監督、ほんとうにありがとう。
yookieco

yookieco