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PERFECT DAYSのおっとっとのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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日々というのは記憶の蓄積で、この人間は誰よりも能動的に記憶というなんたる主観的で曖昧で取るに足らないものをかき集めている、それがまるで我が一生続く作業であると恥も知らず堂々と!その大胆さ!美しさ!
とかいう仰々しい飾り言葉をつける気にもなれず、
首都高を経由して不気味に綺麗で異形なトイレのみが映される渋谷区と、誰よりも新参者の癖にランドマーク然と聳え立つ異物をメインに置かれた墨田区を往復する姿。

私自身のこの国で生まれた者としての目線と、異国に幾分住み慣れた者としての目線と、自身の浮遊している目線をより不安定にさせるような、細やかなものを「まあよいか」と目をつぶっても全然構わないのだが、瞑ったところで、これは誰への配慮なのだと、誰かの視線を気にしてないのは、誰よりも主人公自身ではないか。

小さいことの積み重ねで日々を彩っていく様に対して、小さい「これは違うだろ」を気にするなは脳の縮尺解像度がバグるし、「海外にはないルール」だからこそ、目を瞑れるが、甘さにも思える。
この人出かけていく時、全くドア閉めないな。海外では勝手に閉まるもんな。でもこのオンボロでそんなことあるかね?チャリも一生鍵閉めへんな〜てか駐輪スペース〜?概念ないからね、海外にゃね。
脳にその説明書があるないかで当たり前ってもちろん違って、それを面白がるための作品ももちろんあって、でもあなたレペゼンしてるじゃないの。って思っちゃうじゃないの。

それでいいのか?それでいいのか。
おっとっと

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