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異人たちのおっとっとのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
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「パーフェクトデイズ」の”自分らしくいること””日々の楽しみを見つけること”の小さな幸せシリーズとは対極にいく、悲観的で厭世的で、でも私はどうしてもこっち側だし、手前は手前で片付けよう、自分を救おうなんて気概がどこからも湧いてこない。

「孤独は恐怖であること」(アンドリュー・スコットが”terror”の言葉まで言ったことは非常に重い)を、都会にいる我々がその痛みを知らないわけなくて(私はロンドン住まいです)その孤独は「他者にアイデンティティを受け入れてもらえない」(またまたアンドリューが”現代は随分マシになった”というセリフには皮肉と悲哀が混じる)にも含まれるわけで、ここにきて、このレビューの場において、原作からこの派生を揶揄する全人類を張っ倒していきたいし、「お前はこの作品の意義と、彼らの抱える本当の孤独を本当に何もわかっていない」と私は怒りモードです。
邂逅によって、両親と「対話」していく過程は、つまりそれは全て実際に果たされなかったことで、あの告白も、あの赦しも、あの抱擁も、全て彼自身のものである。

彼らの孤独のなんたる深いことか。この物語のこれからを想像するのはどうしても難しいことがあるが、「この深い深い孤独を抱えるものは貴方一人ではない」その言葉だけでも救われる誰かがきっといると思う。そう願ってやまない。我々は圧倒的に弱く、孤独は暗く、途方もなく大きい。
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