#7
これは素晴らしい映画だった。
昨年のTIFFで即完売になったのも当然だと思った(今回も、小スクリーンだったが、平日夕刻で、ほぼ満席だった)。
最初は、日本財団&TTTとユニクロの宣伝映画だと思っていたのだが、それを逆手にとり、日常をロードムービーにするという、驚くべき映画だった。
誰の人生もルーチンワークながら、個々のドラマがあり、そこに差異があるものの、実は全員に共通する何かがあることを、見事に描いていた。
まさに、ヴェンダースが敬愛する「平山」=小津安二郎の世界の再現だった。
カセット音楽の選曲が最高で、(タイトルの由来となった?)ルー・リードの《perfect day》など、どれも、恐ろしいほど慎重に考え抜かれている。
ワンシーンのみ出演まで含めて、キャスティングがユニークで超豪華。
フォークナー『野生の棕櫚』を読んでいると思ったら(しかも、わざわざ絶版の新潮文庫)、写真屋のオヤジが柴田元幸で、古本屋が犬山イヌコだったのには、感心した。
バーでギターを弾くのが、あがた森魚なのも、たまらない。
浅草地下街が出てくるのも、うれしかった。
長回しをせず、意外と細かいカットの積み重ねなので、静かな場面の連続なのに、まったく眠くならなかった。
たいへん心地よい映画で、近々、もう一度観に行きたい。