けんざ

PERFECT DAYSのけんざのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3
トイレ大国日本ならではのオブジェと化したトイレの数々。透明化トイレは、中の清潔さや安全性を可視化することで公共トイレのネガティブなイメージを払拭する狙いがあるらしいのだけど、話題呼んだところで一円の得にもならないのが面白い。無駄を愛する日本人。

有害なおじさんが日々取り沙汰される一方で、無害なおじさんはスポットライトを浴びることもなく、社会の隅でひっそりと暮らしている。迫害されるわけではないが、別に褒められるわけでもない。他者と交わっても世界が劇的な広がりを見せることもなく、何のために生きているのかと嗚咽する人生が怖くてたまらない。みんなそれぞれの世界を生きて、ちょっとずつ交わるくらいでちょうどよかったのに、いつのまにか幸福度という相対的指標で測られるのを怯えている。

トイレ清掃が高級取りの仕事になっても扱いは今のまま?職に貴賎なしといっても、みんな心の中でうっすら憐みや蔑みを抱いている。結局誰かがやらなければいけないのに。AIやロボットが不人気仕事を代替したあかつきに、無害おじさんたちの居場所はどうなってしまうのか。

映画で自分と同じ銘柄のタバコが登場するの初めてで嬉しかった。でも久しぶりの喫煙でロンピはヤニクラえぐいからやめたほうがいいよ。

あとトイレでの⚪︎×ゲームを見て、小学生の頃に本屋のトイレで知らない人と落書きで文通してたの思い出した。ある日清掃で全部デリートされちゃったけど、子供の頃の良き思い出。
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