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PERFECT DAYSのnenecoのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

何て言ったらいいのかわからないが、「ゆるふわ日常系」?
平山さんの毎日を淡々と見せられるのだが、これがものすごく面白い。
同じような毎日でも何かが少し違っていて、間違い探しをしている気分。
徐々に平山さんの素性や毎日がどのように成り立っているのかがわかる点が興味深い。

時には若い同僚の若い彼女が話しかけてきたり、行きつけの浅草地下街の飲み屋が満席でいつもの席に座れなかったり。
自分が所有している古いカセットテープの現在の値打ちを知ったり、同僚の恋路のために渋々お金を貸してみたり。
まだ幼さの残る姪が家出して転がり込んできたり、小料理屋のママさんの熱い抱擁を目撃してしまったり。
(鍵をあんなに沢山持ってるのに、自宅のドアの鍵は閉めず、でも姪がいる間はちゃんと鍵を閉めてて微笑ましかった。)

なんてことない日常の風景と共に、口数は多くない平山さんのドキドキや静かな苛立ちや嬉しい気持ちが画面からバンバン伝わってくる。
2時間があっという間だった。

急に辞めた若者に貸したお金はきっと返ってこないのだろうけど、その若者の代わりにシフトに入ってくれた女性(演:安藤玉恵さん)は信頼できそうな人で、平山さんが安心した様子にこちらもホッ。

あと、地下街の飲み屋のお兄さん(演:甲本雅裕さん)の「お疲れっ」と「おやすみ!グンナイ」がとても良い。
浅草に行けばここに出てきた人々とすれ違えるのかもしれないという錯覚を強く残してくれた。

映画館からの帰り道はルー・リードを聴きながら、自宅に着いたらまずはトイレ掃除をした。
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