ヴレア

PERFECT DAYSのヴレアのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.1
最初は普通のおじさんの日常を追っただけの内容で2時間もつのかな?とちょっと懸念を抱いていたものの、全くの杞憂だった。
なんなんだろういつまでも観ていられるようなこの感覚。
基本的におじさんの日常系物語ではあるものの、スタンダードサイズに映し出されるその映像は物凄いリアリティを醸し出していた。
狭い画面サイズだからこその狙いとは何か。
おじさんの暮らす狭いアパートの一室。
そして、仕事場である公衆トイレ。
或いは車の中、銭湯。
それらの生活の場がまさにスタンダードサイズに合致している為に、よりおじさんの生活が身近に感じられるという効果があるのではないか。
カメラも比較的おじさんの被写体に寄っていることが多く、よりドキュメンタリーっぽさを感じさせる。
ひたすらおじさんの生活そのものに主観を置く事により、その生活ぶりがまざまざと感じ取れる。
おじさんの趣味である小説やカセットテープといったアナログなアイテムが画面を彩り、カセットテープはそのままBGMとしてそこに存在するばかりか、カセットテープを巡って周りの人々との交流の一端となっているのも良い効果を与えている。
周りの人々との様々なエピソードが展開されるものの、それらの顛末がしっかりと描かれる訳ではなく、中途半端だからこそ逆にリアリティを与えているように感じた。
ある時に見せるおじさんの涙の意味とか完全に理解する事は出来ないが、その意味を想像するになんとなく察せされるからこそ共感させられた。

また、東京には凄いオシャレな公衆トイレが沢山あるんだなと、田舎民の私にはとても興味深かった。
赤色や真っ白や木目調の外観。円柱形だったり小さいおうちみたいのとか。特に印象的だったのは透明なのに鍵をかけると中身が見えなくなる奴。
どういう原理かはわからないが、もし何らかの不具合で使用中に透明になったりしたらやだなぁと勝手に不安になりました。
ヴレア

ヴレア