Yume

PERFECT DAYSのYumeのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.4
マキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオのTBSラジオ『東京ポッド許可局』に最近ハマっていて、先週PERFECT DAYSの話を取り上げていたので、これは行かねば!とやっとこさ映画館へ。

この映画めちゃくちゃパーフェクトが詰まってる!

役所広司演じる平山の質素な生活が良い!
趣味は神社で拾ってくる植物を朝に霧吹きで水やり。

仕事の休憩中にフィルムカメラで木漏れ日を撮る。

仕事終わりの一番風呂。

行きつけの古本屋で100円均一の中から文庫本を買い、夜寝落ちするまで読む。

森山大道が90年代に使っていたというコンパクトフィルムカメラ/オリンパスμでファインダーを覗かず木々を煽り撮影するのもいいな〜

まだ仕事人が忙しい時間に浅草の改札が見える浅草地下街で1杯晩酌するのも良い。

役所広司の演技が良いのは間違い無いが、平山を演じる姿が自然過ぎるというか、もはやドキュメンタリーを観ているようで素晴らしい。
アパート暮らしなので映画『すばらしき世界』と被るところがあり、いつキレるんだろうとヒヤヒヤしながら見守っていたけど、今回の役柄は違う。
それにしてもトイレを使用する人たちの冷たさよ、確かに清掃員に対するヒエラルキーの低さは現実でもそうだなと改めて気付きを与えられる。

多くを語らない、無口な平山はその生い立ちも説明されない。
妹の高級車を見ると、もしかしたら金持ちの家庭だったのかもしれないし、父の老人ホームの面会を頑なに拒否する姿は何やら親子の確執があるのかもしれない。

ガラケーを持っているが玄関に置いてるところから親しい人から連絡が来たりする事もなく、テレビも無い世界で、彼は些細な事にも目をむけられる平山。
そんな平山にも同僚の狙っている女性からキスされたり、姪っ子が家出して転がり込んできて、カセットテープや小説に興味を持ったりする。
その平山の反応がめちゃくちゃ良くて、いつまでも観てられる。
特に下北の帰りの車の中、キスされた後の風呂潜り、ラストシーンの運転長回しはもう最高!

どんな事があっても、ほうきを履く音で目覚め、家の扉を開けて空を仰いで笑顔になれる、まさにそんな生活がPERFECTDAYSなんだろう。
Yume

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