このレビューはネタバレを含みます
"今"を大切にして生きる、を描いているっていう意味ではいい映画とも思えたけど、私には「今は今、今度は今度」の考え方が良いものとは思えなかったな。。
彼の生活は慎ましくも、ささやかな幸せを見つけているという話でそれはそれでいいのだが、このセリフを繰り返すことは、社会的に必ずしも恵まれてるとはいえない生活をしている人に、今のことしか考えるな=先の社会を考えるなというメッセージにもならない？？
社会の中で、人が好まない仕事を選び直向きに打ち込む彼の姿は美しいが、実家が裕福なのに"敢えて"あの生活を選んでいるというのは美しい話のように思えるが、実際あの仕事を選ばざるを得ない人に、同じように今だけを考えてその中幸せを享受しろよ、と言ってるのと紙一重に感じた。
まあその視点があるから、実家が裕福な設定にしたのかもしれないとも思ったけど。
あと、最後の彼の涙は良かった。人間やから、そうやんな、と。
あと一個どうしてもダメやったのが、カセットテープ聴きにくる女の子。ああいう、物語上で無条件に好意を持ってくれる若い女の子の存在はファンタジーすぎるし、それ以外にも、同じく普通の生活者である周りの女性が都合よく日々を潤してくれるっていう幻想がきつい。
と、ボロカス言ってはいるけど、鑑賞後の気分は悪くはないし、些細ながらも美しい日常と、日本の住宅街の景観を味わうという意味では良かった。
