もた

PERFECT DAYSのもたのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

今更ながら。なんで錦糸町の朝イチとかでやってるんだと思ったらスカイツリー周辺が取り上げられてるのか。東京を舞台にしておきながら、喪失の物語になっている点で、『アメリカ、家族のいる風景』ぶりくらいにちゃんとしたヴェンダース作品なのではと驚いた(『誰のせいでもない』で「もういいや」となった自分が言えた立場ではないけど……)。『パターソン』みたいな話かなと思ってたら、かなり近くはあったけど、逆説的にジャームッシュとヴェンダースの作家性の違いが明白になっているのが面白い。一定の周期を保ちながら生きていくことは非常に難しいというテーマのひとつは共通するけど、逸脱もポジティブに捉えて詩作に昇華しようとするアダム・ドライバーの一週間よりも、何かを悟って今のポジションに落ち着き、東京という街をひたすら傍観し続ける主人公のそこはかとない諦念と病的なほどのルーティンワークにはより心打たれる部分があるし、そこには『うなぎ』『すばらしき世界』の役所広司だからこその文脈が確かにある。そしてそれゆえに現実離れした理想の映画にはなっていないと言える。石川さゆりとあがた森魚が一曲披露する酒場をのぞいて。
それにしても、手持ちのDAPだけでほとんどサントラ組める選曲で聴いてて楽しかったけど、平山=自分じゃんと思った。唯一の邦楽が金延幸子なのとかまさに。極め付けは一年くらい前に読んだハイスミスの『すっぽん』だけど、ほぼ忘れてたから彼みたいにもう一度読むか。
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