このレビューはネタバレを含みます
史実を元にした映画。
悲しくて辛い話。
メイドのアンナが怖い。
嘘ついてるお店のおじさんも怖い。
アンナは、ユダヤ教家族の赤ちゃん(エドガルド)に、勝手にキリスト教の洗礼を受けさせる。
アンナとしては当時、具合のよくない赤ちゃんを救いたい気持ちもあるし、お店のおじさんから、「洗礼受けさせないとアンナにも罪が」と言われたのもあって、洗礼を受けさせたと証言するが…6年も経って異端審問官にその事実を伝える。
教会の法に則れば、洗礼を受けたエドガルドをキリスト教徒でない両親が育てることはできない為、兵士たちがエドガルドを連れ去ってしまう。
エドガルドを取り戻そうと家族が頑張り、裁判が行われることになる。
その際、何故6年も経ってその事を告げたのかと問われたアンナは、初め、真実を隠しておけなかったと言うが、後からお金を受け取っていた事が判明する。生活に困窮したアンナはお金の為に6年も経って告白したのだ。アンナは自身の子供の為のお金だと主張する。
しかし、その為にたった6歳のエドガルドは誘拐された。
お店のおじさんは、アンナにそんな事は言っていないと嘘をつく。
エドガルドを取り戻そうと頑張り続ける家族。
しかし、年月はどんどん経っていく。
その間、6歳から教会で育てられたエドガルドは完全なキリスト教徒となる。
家族と再会出来ても、今はキリスト教徒で幸せだと言う。
ずっとエドガルドの為に奔走してきた家族はショックを受けるが…責めない。
エドガルドは、危篤の母に会いに来る。
驚く事に、母に洗礼を受けさせようとする。
母は、「ユダヤ教徒として生まれた。ユダヤ教徒として死にたい。」と伝える。
母のその表情、顔を覆い隠す自分の手。
ずっと戦ってきた長男の怒りが爆発する。
父の葬儀にも来なかったと責める。
廊下で座り込むエドガルド。
そのまま、キリスト教徒として生き続ける。
裁判の時の父の様子も、長男とエドガルドが再会した時の会話も泣けたし、悲しい話なんだけど、もうホラー。
初めに教会側が「エドガルドを取り戻したければ改宗の意思をみせろ」と言う。
家族は改宗しない。それ程、宗教が重くて、大切なのだ。信じているものだから。
エンディング曲も迫力があって、恐怖が増した。