19世紀イタリアで、カトリック教会が権力強化のために7歳になる少年エドガルド・モルターラを両親のもとから連れ去り、世界で論争を巻き起こした史実をもとに描いたドラマ。
ガッツリ宗教のお話しなので理解に苦戦したものの、大筋、或いは表面的な理解のみでも頗る感情を揺さぶられる作品だった。
宗教と言う名の権力、洗脳、原理主義の怖さを切々と感じる。
わずか7歳で両親、家族と引き離される悲しみの大きさ、一方で幼いが故の順応力が切なくも悲しい。
少年役が先か?青年役が先か?
まるで同一人物の10年後を思わせるキャスティングにはハッとさせられた。寄せてるレベルじゃなかった。当然、感情移入もすんなりシフトされるという。
父親と母親の心情の違いが興味深く、それぞれの対面シーンに胸が苦しくて苦しくて。母親に至っては同化し過ぎて込み上げる憤りに胸が張り裂けそうだった。
そして、青年エドガルドがやっと教皇に反発した際の豹変ぷり、感情の爆発には少なからずホッとしてしまった。
世界を震撼させた実話が、マルコ・ベロッキオ監督の重厚で荘厳な世界観で見事に描き出されていたと思う。
個人的に無宗教の視点で、宗教とは何か?何の為にあるのか?そして宗教問題の難しさ…とても考えさせられる作品だった。