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墓泥棒と失われた女神のBigsのネタバレレビュー・内容・結末

墓泥棒と失われた女神(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます


『幸福なラザロ』に続いて、超現実的な描写や飛躍も含む、現代社会を反映した不思議な寓話として面白い。(このファンタジックとも言える独特の手付きはイタリアの巨匠たちともリンクするものなのか)

墓荒らしで生計を立てる貧困な村の人々。それに特殊なダウジング能力を活用する異邦人の主人公。(考古学を志してたっぽいことも言ってた)
既にこの世に存在しない人を想い続けることと、死者の墓に入りその世界に近づこうとすること。

ジェンダー的視点。女性が主導する古代の文明。それが結実したような終盤の女性たちのユートピア的生活。女性たちを抑圧するような盗人集団の男性性。イタリアたちと対極的な、先生の娘たちの女系家族や、宝物売買元締の歯科医院経営者の女性。

冒頭の子供達が覗くフィルムのおもちゃ、主人公の見る夢、ラストに主人公が地中から穴を通して過去の想い人を見ること。そして、大勢の人に見られる物ではないと、発掘した高価なお宝を海に捨てる。監督なりの映画に対する思いにも思えた(多くの人に見られる映画が量産され、それが追求されるが、本来映画は特定の個人に深く突き刺さる物だというような)

冒頭の列車の乗客の視線。途中挟まれる歌。ダウジング目線のような回転するカメラ。言い争いの犬鳴き声。不思議な面白い演出の数々。
人懐っこいような印象に残る人々。男臭く少し暴力的な盗人の男たちも含め。メロディーが良い。
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