みむさん

About Dry Grasses(英題)のみむさんのレビュー・感想・評価

About Dry Grasses(英題)(2023年製作の映画)
3.8
東京フィルメックスにて。

また長尺でおっさんのドラマやってる!と思いつつもいつも見てしまうのはなんだかんだで面白いから。
長いけど面白い?面白いけど長い?会話が殆どで淡々として映像が美しい。寝落ちしそうな要素多くて心配だったが見入るので大丈夫。

「昔々アナトリアで」が一番面白かったが、今回もまあまあ。イスタンブールからアナトリアの田舎の学校に赴任して数年経った教師の主人公を中心として他の二人の教師と一人の生徒との関係性を描き、まったく共感できずも見入ってしまうドラマになっていた。

一年の半分は雪景色という寒々閉塞感あふれる中で繰り広げられるあれこれ、枯れ草だらけの季節に変わるとそれまでの出来事も雪と共に何もなかったように消えるのか?

サメットはお気に入りの生徒にある告発をされ、もう一人の教師でありルームメイトであるケナンとともに教師としての立場が揺らぐ。その話の行く末を描く話かと思いきや、ヌレイとの奇妙な三角関係も絡んできて、なんとも不快なサメットの二枚舌な態度を見せつけられる。こいつなんなんだ…と。

まったく好い人でもなく英雄でもなく、疲れて倦怠感出しまくりな彼の独白、唐突に挿入されるメタ構造風シーン。

ちょっと戸惑ったが、またしても長いのに見入ってしまい、最後にはやられた!と思うヌリ・ビルゲ・セイラン映画だった。