ヒノモト

About Dry Grasses(英題)のヒノモトのレビュー・感想・評価

About Dry Grasses(英題)(2023年製作の映画)
3.7
先日終了した東京フィルメックスより、何とか鑑賞できた作品の感想をごく短めに。
『雪の轍』『冬の街』などのトルコの巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督による3時間17分の作品。

アナトリアの僻地にある学校で美術教師をしているサメットは、全てのことに嫌気が差していて、イスタンブール行きを熱望する毎日。同僚と教師ケナンと下宿を共有する中、英語教師の女性ヌライを紹介されるが、人当たりの良いケナンが介入し、事態は複雑になるというお話。
実際は、この三角関係が長々と議論される合間に、ある生徒から受ける仕打ちが大きな影響を与える物語になっています。

映画の長さは覚悟していたし、終盤の雪解けからの心象風景のようなメタフィクション要素とタイトルの意味を語るラストまでの時間の重みとして、必要な長さとも感じますが、テーマや思想をセリフにそのまま乗せる場面が多く、それをなかなか触れる機会の少ない国の物語として、分かり易く咀嚼しやすいと捉えるか、ストレートすぎると感じるかは難しいところでした。

教師としての資質を問う物語としたいなら、学校や生徒とのエピソードの比重を高くしたほうが、直接的だったと思うのですが、主人公の嫌みな感じ、その背景としてのプライベート描写だとしたら、意味あるものといえます。
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