【真実はいつも無数】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=5kyFZTD3z4k&t=114s
2/23(金)公開のパルム・ドール受賞作を試写にて一足早く鑑賞した。
《真実はいつも無数、しかし、ひとつ選ぶ必要がある》を緻密な脚本の積み上げで描き切った傑作。雪山で起きた不審死を軸に、当事者/非当事者、そして盲目の少年が「不足」を事実で補いながら対立する。
懸念していた盲目の少年にギミックの全てを背負わせるのは回避されていた。
・サンドラ:ドイツ語が主言語であるが仏語使用を強いられる(なんとか使い慣れた英語での議論を勝ち取る)
・息子:盲目であるため視覚情報以外が証言となる
・その他:真相は知らないが事実、検証を通じて真実を掴もうとする
この関係性が重要となる。
この映画が面白いのが、全登場人物が何かしら欠けているのに、自分の信じる真実を正とするために断定をするところにある。そのやり取りの傲慢さと滑稽さが面白いのだ。
ただ、衝撃的なのはもっと別のところにあった!
ジュスティーヌ・トリエ監督はカイエ・デュ・シネマに2010年代ベスト映画として『ゴーン・ガール』を挙げている。久しぶりに予告編を観たらかなり意識しているような感じだった。それどころか内容がほとんど一緒であることが判明したのである。
つまり、本作はジュスティーヌ・トリエが送る《『ゴーン・ガール』の解剖学》だったのだ!
『ゴーン・ガール』を再鑑賞する必要があるが、恐らくアレンジが良くできている。
詳しいことは、映画が公開してから記事をアップしようと思う。これはあまり観ないタイプの驚きだった。
寄稿文:<考察>『落下の解剖学』真実はいつも「ひとつ」——ではない?!▼
https://cinema.ne.jp/article/detail/52334