Miri

落下の解剖学のMiriのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.8
フランスのグルノーブルにある人里離れた山小屋で起きた転落事故。
落下し死亡した夫・サミュエル。第一発見者だった視覚障害を持った11歳のダニエル、妻のサンドラを巡って果たして自殺なのか他殺なのかが裁判で議論される。
事故の映像ではなく裁判所内でのやり取りから全貌を明らかにしていくのが見ていてハラハラドキドキさせていく。弁護側、検察側での攻防の中でサンドラは果たして本当に白なのか?実は黒なのでは?と思わせる演出に目が離せなかった。
個人的に印象的だったのがサミュエルのカウンセラーの証言、夫婦喧嘩のシーンと最後のダニエルの証言のシーン。
結局カウンセラーの証言はサミュエルの一番つらいときの話を聞いているからそれは妻側を悪としてしまうし、一つの夫婦喧嘩を聞いたとしても前後のコンテクストがわかるわけでもない。サミュエルは死んでしまったから彼側の本当の真意を知ることはできない。結局当人しか夫婦・カップルの関係性なんてわからないし、果たして愛を証明することはできるのかとも考えさせられた。
そう考えるとダニエルの証言はとても今回において重要な役割を果たしているし、11歳なりに考え抜いた結果が結末ということが良かったのではないかと感じた。
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