Miri

異人たちのMiriのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
3.5
鑑賞してからだいぶ時間が経ってしまった。

原作は未読だが、山田太一の小説『異人たちとの夏』を原作とし、主人公をゲイの男性に少し改変させた今作。
ポスターから感じられる、現実のようで現実じゃない雰囲気を画面からずっと漂っていて、見ていてふわふわしている感覚に陥った。実際劇中で起きる、死んだはずの両親との再開やマンションにアダムとハリーの2人しかいないこととか。その描写が幸せのようで、でもなんだか不穏さを感じさせてきて、それがアダムの不安・孤独感・甘えたいという感情を表現している様に感じた。
アダムを「現代のゲイの中年男性」という設定にしたということにも意味があるように感じた。両親を若くになくし、カミングアウトもできていない、また自身のセクシャリティについてまだ自分自身で消化しきれていない感じが、20代30代のLGBTQ+の方たちとの感覚の違いというのが感じられる。これはハリーとの「Gay」や「Queer」の言葉の受け取り方や感じ方を語り合う部分でとても感じた。この設定により、現代からおいていかれるような感覚に、より孤独感や不安感という部分に関する要素が追加され、ハリーとの心を通わせる部分が際立つように感じた。

観るのはしんどい人がいるかもしれないね。
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