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落下の解剖学のtsubame737のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.1
「三度目の殺人」のように法廷劇を通して浮かび上がる主観と客観、事実と真実。ファーストカットは階段を駆け下りる犬と落ちるボール。公式パンフにもあるように、落下のモチーフという意味がある。それに加えて、私は犬が気になった。犬は本能だけで生きており、主観の持ちようがない。序盤の鳥の視点というか神の視点のようなシーンも合わせて、モチーフによって主観と客観を伝えようとしたのだろうか。

それと子役の演技が素晴らしかったが、撮影手法が気になった。本作は子供にはきつい設定や大人が発するセリフがある。素人ながら、本作は編集で工夫していて、子役にそれらを知らせなくても聞かせなくても撮影できるような気がするが、実際はどうなのだろう。

二回目の鑑賞からの追記
本作は、発言者へのカメラの寄りの動きが目立つ。発言者への感情移入を高め、客観的ではなく主観的な演出を取ったのだろう。しかし、主人公と弁護士との序盤と終盤での全二回のハグのシーンは引きの画である。お互いがお互いに好意を持つ関係、つまり不倫関係に対しては観客に感情移入させたくなかった、監督は冷めた目で見ているのだろう
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