オリオンの息子

落下の解剖学のオリオンの息子のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9
anatomieは解剖学と訳して良いのだろうか?

前評判に釣られて鑑賞、始めはミステリーかと思っていたが、徐々に法廷劇に入っていく。
前段は冗長なので、若干退屈だがここをしっかりと把握しておかないと後半の面白さが失われる。

裁判劇に入ると俄然面白くなる。
容疑者の保釈・拘束の競り合い、録音テープの存在、子供の証言と様々な要素が絡み合い、見逃せないシーンが続く。

結末のモヤモヤ感がまた良い。非常によくできた脚本だと思う。

鑑賞後に思ったことを一言。
この事件を我が国に置き換えたら、この150分のドラマが30分で終わるであろう。
だって、我が国の警察・検察は見込み捜査に終始し、容疑者の保釈なんて絶対せずに、拷問まがいの長期拘束。
マスコミは警察・検察のリークに踊らされ連日鬼妻とでも騒ぎ立てるだろう。子供の証言なんてありえない。
機能していない裁判員制度でアッという間に解決、ドラマになんてならないだろう。

フランスは、まだまだ司法における公平性が担保されてる国なのだとため息が出た。