このレビューはネタバレを含みます
真実は自分で決める
判断材料が十分にないのに決めなければならない。
通常の裁判であれば十分になるまで材料を集めるべきところだが、本作中ではそうもいかない。
断片的な真実からあーだこーだ想像して決めつけるのはSNSの炎上にも似ている。
ダニエルの最後の証言は父親の自殺を裏付ける根拠が1ミリもないけれど、論理的な推考と落ち着いた話し方、そして無垢な子供という材料から母親の容疑が晴れた。
カップルの複雑さは他者にはわかり得ないこと、真実は見えにくいこと、現代社会にも重なるような構図が多々あり、その深みにはまっていくような作品だった。