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落下の解剖学のmozzerのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

アカデミー脚本賞始め沢山の賞を取っただけある、良くできた映画。
最後まで飽きずに集中して観れた、個人的には今年のアカデミー作品の中で一番見応えあり面白いと思った映画でした。
誰の視点で観るかによって、受け取りかたが全く変わってくる、言い換えれば実際何が起こったのかに関する答えは観客に委ねられており、真実は彼ら家族にしかわからないということだろう。
裁判が終わってからも、息子や母親が裏の顔を見せるんじゃないかとか、実は弁護士と母親が共犯なんじゃないかといったどんでん返しが起こると思って、エンドロールまで全く気が抜けなかった。
落下の解剖学というタイトルも、父親がどう屋根裏部屋の窓から落ちたかということよりも、夫婦の関係性がある出来事をきっかけに奈落に落ちて壊れた原因を探るという意味ととらえることができる。
結果的に、最後の息子の証言も印象的で母親は無罪になるのだけれど、結末についての暗示は既に冒頭の弁護士と母親の会話の中でヒントが出されている。殺したかどうかは問題ではなく、どう思われるかが重要だということ。息子が母親を助ける為に考え付いたストーリーの可能性もあるし、真実かもしれない。しかし、それは夫婦にしかわからないことで、事実であったとしても真実では無いかもしれない。
本当に見終わった後も色々思いを巡らせられる面白い映画でした。
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