カタクチイワシ映画レビュー

落下の解剖学のカタクチイワシ映画レビューのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9
モヤモヤ、ギスギス。終盤で証拠品として提出される録音音声、あーゆーの本当にイヤ〜な感じで最低(最高)!


どこで勘違いしたのか観始めるまでは実話系の話かと思ってた。途中で作劇だとわかったけど、観終わってみると『やっぱこれリアルだ』って思った。というのもこれ、誰の身にも起こりうるな、と。

べつにこんな入り組んだ事件しょっちゅうある訳じゃないけど、普段ニュースで見かける事件、私なんかは報道されるその一部だけを知って勝手な決め付けや印象を持っちゃう。本当のことなんて当事者達にしかわからないのに。
側からは良く見えても、他所の家のことなんて誰にもわからないし、例え親しい友人の家庭だとしてもホントの内情なんて知る由もない。

じゃあ自身の家庭のことはどうだろう? 夫は? 妻は? 夫婦という最も身近な他人、見方によってはとっても不気味で奇妙な隣人。裁判が進むにつれ徐々に明らかになる2人の関係性。それは絶対に一言で言い表せる様な単純なものじゃない。
この『夫婦』というものの複雑さと不気味さ、全然タイプは違うけど『ゴーン・ガール』を観たときを思い出してスッゴイ複雑な気持ちになりました。

でもこの映画では解剖に息子も立ち会ってくれちゃうんですよねー。視覚障害を患う彼と両親を巡る関係。3人の距離感を示す演出が最初からじわじわ効いてきて素晴らしかった。作中のキーマンとなる彼が選択したしたもの、秘めた想い。いや〜キッツくね? エグくね怖くね?
彼にはどの程度真実が見えていたんでしょうか。


真相は最後までわかりません。受け手によって見え方が変わるでしょう。アナタにはどう真実が映ったでしょうか。オススメです。


※ザンドラ・ヒュラーの演技ホント凄かったけど、ワンコの方も全然負けてなかったぞー‼︎