コンテナ店子

Four Daughters フォー・ドーターズのコンテナ店子のレビュー・感想・評価

4.0
 去年のアカデミーにノミネートされていたと聞いた時からこの映画を見たいと思っていましたが、先日やっと見てこれました。アカデミーにノミネートされたドキュメンタリー映画はだいたい見ようとしているというのもありますが、単純に題材からして結構楽しみにしていました。

 この映画はあらすじを見ればわかるかもしれませんが、事件の当事者がその経緯を再現したドキュメンタリーを撮ろうとしている様子を撮った映画です。見てて思ったのが、撮影に当たった当事者の心境であったり自然と出て来た言葉をすごく大事にしていて、完成した再現映像はほとんど使われていませんでした。それがいい方向に働いていたと思います。

 ドキュメンタリー映画も事実をベースにしているだけで映画ではあります。なので、よほどとんでもない映像を撮れていない限り、その映像の中にいる主人公となる人物に共感を持てていないと好きになれません。
 この映画では加害者家族たちが当時の様子を再現するために役者に思い出であったり演じてもらう人の性格を伝えようとしています。その様子がすごくリアルで、そこに友情があったことが強く伝わってきました。
 映画の中にいる人たちがかなり感情的になるシーンが多かった作品だったので、他のドキュメンタリー以上に出ている人物たちに共感を持つことが出来ました。なので、狭い場所で撮っているのでほとんど視覚的に見えている物が一緒でも、決して飽きることはありませんでした。

 後は視覚的表現もすごく良かったです。かなり独創的なカットが多く、映し方1つ1つにもしっかりとした意味があり、読み取れる情報がすごく多かったです。特に映画冒頭でそれがかなり活かされていて、つかみは本当に最高でした。

 ここまでかなり褒めてきましたが、好きじゃないところもあります。もしかしたら、元々国内の事態を知っている人向けに作ったのかもしれませんが、この映画で取り扱っている事件の犯人が何をしたのかいまいちよくわかりませんでした。
 なので、冒頭での掴みがかなり良く、どんなことが起こるんだろうとわくわくさせられていたし、作中では犯人を凶悪犯みたいに映画いていますが、映画を見終わった跡では、それほどの出来事なのか疑問符を浮かべてしまいました。もうちょっと映画で取り扱っている事件の説明がもっと欲しかったです。

 終盤に至るにつれて尻すぼみ感がありますが、それもこの映画が伝えたいメッセージ性の1つに感じます。この映画はメッセージ性がかなり強く、そのせいでかなり落ち込みますが、それを感じたい人にとってはかなりいい映画だと思う気がします。
 最近あんまりすごく良いと思うドキュメンタリー映画を見ていなかったのもあり、かなり満足させられました。ドキュメンタリーを普段見ない人に勧められる作品ではないですが、好きな人にとってはかなりいい映画になると思います。おすすめです。
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