fuccalibra

枯れ葉のfuccalibraのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
3.9
湿り気がないのがいい。
すっとぼけているのが良い。
瞬きするのも勿体ないのか?と思うくらい
無表情なのもいい。

2、3度会った女に「結婚しかけた」と思うのもアレだし、
アル中気味なのは良くないとしても「クズ男」と断ずるのもアレ。
まぁ、それでも女性の言い分の方が
理にかなってはいる気もするけれど。
しかし。
この二人の生活が、それぞれの内面でも
あるような印象を受ける。
そうであればこそ「結婚しかけた」だろうし
「クズ男」でもあろうと思ったりする。
設定はロシアがウクライナを侵攻している現在。
ラジオから刻々とその状況が伝えられる。
そんな緊迫した中でも人は落ちる時は恋に落ちる。
大人のアンサとホラッパも多少の罪悪感を
感じ(ているように見える)ながらも恋に
落ちるものは仕方ない。
何故なら自分たちの内面も荒涼としているからだ。
アンサの方はそれでもかなりそれを
飼い慣らしているように見受けられるけれども。
世情がどうであっても、自分の生活が
どうであっても自分の気持ちに素直で
あることが一番大切だなと思わせてくれて
好きだなぁ。

好きなシーンが幾つかある。
一つ目は、アンサが食器を購入し、
ホラッパは花を買い求めるシーン。
それまでの無味乾燥なイメージから一変して
二人に煌めきが宿ったようで好き。
二つ目は、アンサがスパークリングワインを
グラスに注いでいる時にスパークリングの
シュワシュワという音がまるで彼の期待感や
喜びを表しているようで好き。
三つ目は、ホラッパからの電話に
「すぐ来て」と答えるアンサ。
四つ目は、笑わなかったアンサが電話を
受けて初めてにっこりするシーン。

映像的にはやたらめったら色がおしゃれ過ぎて死ぬ。
fuccalibra

fuccalibra