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アインシュタインと原爆のfuccalibraのレビュー・感想・評価

アインシュタインと原爆(2024年製作の映画)
4.3
昨日『オッペンハイマー』を観てからの。

もし、アインシュタインが原子を
発見しなかったら?
そうであればオッペンハイマーは
原爆の父と呼ばれることもなかった?
いや、きっとアインシュタインではない
他の誰かが発見している。
だから、ここでより重要なのは
アインシュタインがユダヤ人であることになる。
ヒトラーが人種ではなくドイツという国を
守るためにというスローガンを掲げていたら?
アインシュタインは亡命することもなく、
ドイツは世界初の原爆を作成していたかもしない。
もし、それが成功していたら世界は
きっと今とは別のものになっていただろう。

もし、アインシュタインが
亡命した先のアメリカでルーズベルトに
「ドイツよりも早く原爆の製造を」と
手紙を書いていなかったら?
オッペンハイマーはマンハッタン計画に
駆り出されなかったかもしれない。

アインシュタインがプリンストンで
教鞭を取らなければ?
オッペンハイマーが彼と知己を
得ることもなかった?

とても皮肉なのが、
アインシュタインがヒトラーの非道を
止めるためにルーズベルトに原爆の開発の
手紙に署名をしたこと。
それに対してオッペンハイマーが
開発された原爆の使用に慎重になるようにと
物理学者達の活動に署名をしなかったことだ。

これは主観なのだけれど、
アインシュタインは原子を
発見してしまったし、オッペンハイマーは
原爆を作ってしまう。
彼らは好むと好まざるとを関わらず
そういう流れに乗せられていたのでは
ないかと思ったりする。

とても悲しく思ったのは、アインシュタインは原子力は『理論上』のことで実現するとは
想定していなかったこと。
少なくとも彼が生きている間には。
しかし、オッペンハイマーは目をキラキラさせてそれを実現させてしまったのだ。

『オッペンハイマー』をご覧になった方は、
ぜひ観ていただきたい。
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