幸せというものは一つ一つ捕まえていけば尽きることなんてない。
ウクライナにロシアが攻め入るという音声が流れてくるラジオと彼等のピュアな関係がこの映画の肝だろう。
世界では凄惨な出来事で溢れている。
差別、貧困、不景気、戦争、格差、挙げたらキリがない。
そういう時代だからこそ誰かと一緒に生きたいと思ったり、恋をしたりする意味があるのだと、彼等の表情とラジオから流れる戦争の悲報から伝わってくるのである。
戦争の現実と、付かず離れず順調とはいえない関係がより切実さを感じる。
何より彼等の関係に幾度となく立ちはだかるすれ違いは見ていて面白い。
すれ違うから駄目だということではない。どこかで通じ合っていると感じ取ったり言語化できないものを大切にしようとするその価値観が素晴らしい。
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カウリスマキ監督自体自分はそこまで詳しいわけではないが、小津安二郎をリスペクトしているらしい。
小道具などもすごくこだわったり、色彩にも気を配られていることが映像から読み取れる。冒頭の赤や青が印象的だ。
それとなんて言ってもセリフがとても少なくサイレント映画のようで好みだった。
