Yellowman

枯れ葉のYellowmanのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.3
何かが違う。独特のつなぎは相変わらずなんだが。
なんか新鮮だ。色使いも今までより、ポップに感じてしまうし、音楽の使い方もこれまでのカウリスマキ監督とは、一味違ったアプローチに感じる。冒頭から労働者の中年の女性アンサの一日の終わりを観せるのだが、一人、寂し気に部屋でラジオをつけると、ロシア、ウクライナの戦況が流れ、嘆くようにアンサはラジオを消す。
これは、カウリマスキ監督の怒りを込めた同時代性を意識した現代劇のアップデートなのだろう。だが、監督のミニマル視点も健在。登場人物の台詞も相変わらず少ないし、大抵無表情だ。カラオケバーで出会う事になるアンサとホラッパ。どちらも労働者の独り身で2人とも仕事が上手く行ってない。そんな2人の恋が始まるのかと思いきや、ヘルシンキの文化の違いか分からんが、同時代性を謳っておきながら、30年ぐらい前の“すれ違い”に振り回される。けれど、あまりにも孤独な2人を観ていて、観てる側は、見守るどころか、応援したくなってしまう。

アキ・カウリスマキの引退撤回後の傑作。
Yellowman

Yellowman