Shu

関心領域のShuのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.5
カンヌでグランプリ、アカデミー賞国際長編映画賞受賞した「関心領域」観てきた。
1945年、アウシュビッツ収容所の所長とその妻や家族は収容所の隣で幸せに暮らしていた。裕福で穏やかな日常。しかし、壁ひとつ隔てたアウシュビッツ収容所の存在が、その気配だけから着実に伝わってくる。壁を隔てたふたつの世界にどんな違いがあるのか?そして我々と彼らとの違いは?と問いかけてくる。
幸せそうな家族のピクニックから映画は始まるのけど冒頭から最後までキャストはほぼフルサイズでほとんどカメラが人物に寄らない。観客はあくまで傍観者として括り付けられる。収容所所長家族の日常だけに徹して描かれるのだけど壁ひとつ挟んだ向こう側から“音”や“気配”だけが確実に感じられる。向こう側の映像は一切出てこない。子供たちが遊ぶ幸せそうな日常と向こう側の見えない地獄。無関心が支配する薄寒い狂気が漂っている。現代社会にも通じるこの“無関心”の狂気を突きつけられる。
できれば何にも知らない状態で観たかったかな。
ところどこで差し込まれる少女が林檎を埋めるモノクロネガシーンが気になってたがどうやらその少女も実在していたとか。そんな女性もいたのか…

これは試されてるな…
なかなか出来ない映画体験でした。
Shu

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