ナントカカントカ1世

関心領域のナントカカントカ1世のネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

映画としてはかなり微妙だなあ…。
作品として面白いわけでもなく、観る意義があるとも思えない。

映像作品なんだから題材の重さとは無関係に内容が退屈なら退屈だよ、そりゃ。ワンアイデア勝負で、アイデア自体は面白いが、短編向け。90分は長いよ。

本作の面白さの根源は史実(塀の向こう側)の示唆にあるわけで、作りものとしての面白さが現実+αのものになっていないように思う。
というか、予告やあらすじから予想できる範囲を超えない。何も起こらない。いやそういう映画だとかそういうことではなくて、観る前と観た後で何も変わらない。

予習復習が必要な期末試験映画って感じ。
でも、じゃあ、作品として観るべき意義があるかと言えば、本作観なくて良いから、ドキュメンタリー映画観るか書籍読んだほうが良いと思う。なんというか、ヘス家の日常なんて、でしょうねとしか思わないし、衝撃でもない。本作観て何かを感じるようでは普通に勉強不足でしょ。今更すぎる。いや、知識がないと答案用紙を埋められないから、むしろ逆か?

歴史の勉強をしなくても、現代では、ツイッターを開けば、ユダヤ人であるイスラエル兵が、虐殺したパレスチナ人の死体から金品を剥ぎ取って嬉々として戦利品をアップしてる様子を簡単に目撃できる。

反ユダヤ主義が浸透してたドイツにおいては、収容所に限らず、ユダヤ人を捕まえて金品を剥ぎ取って自分の物にするってことが普通にあったらしいから、見て見ぬふりとか無関心とかではなくて、母親とかは本当に何の良心の呵責もないだけなんじゃないかなと思う。養鶏場で鳥を屠殺するみたいなもの。
あとは心理的距離の問題。銃殺よりガス室、収容所の中より塀の向こう側、ましては収容所は ドイツから遠く離れたポーランド。虐殺に対する心理的負担はどんどんなくなる。

平時において、社会に蔓延る、他人を非人間化するような差別的思想に対して抵抗し続けるしかないのだと思うのだけど、別にこれ映画の感想じゃないしな。いろいろ考えてしまうけど、考えれば考えるほどこの映画で抜け落ちてる要素が多すぎる気がしてくる。