ナントカカントカ1世

猿の惑星/キングダムのナントカカントカ1世のネタバレレビュー・内容・結末

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

良い!

旧作オリジナルの1作目と、リブート版のシーザー三部作は予習済みで本作鑑賞。

『猿の惑星』映画というジャンルとして、この出来の良さは素晴らしい。
映像表現が凄まじい。全部作り物なのにこの生命感。ラストの海水漬けお猿さんバトルはどうやって作ってるんや。水も当然CGだよな?

ストーリーは冗長だし、シーザーとかと比べるとキャラも弱い。上映時間2時間半は長い。
しかし、テーマ的な部分。『猿の惑星』を『猿の惑星』たらしめる本質的な鋭さがマジで素晴らしい。

『猿の惑星』とは何かという本質。
人間と猿を逆転させるところから始まり、猿に「人間的なもの」(善性や悪性)を化体して客観的に見せることで、人間らしさ(特に悪い部分)を浮かび上がらせる作品。

そういう意味で、メイが知能あり人間であると分かってからの展開は、そう来るかーって感じ。メイの言動が人間のそれ。ある種単純化されたエイプと比べると、明らかに異質な性質を持っている存在。人間、マジお前、そういうとこだぞ。躊躇なく同胞を殺すやん。エイプもドン引き。

人間側も余裕ないのは分かるし、エイプが武器を手にしたらやばいのも分かるが。「人間は信用できない」が圧倒的に正しいんだよなあ。
前半の弱い庇護者のようであった人間が、本性を現し、エイプにとっての悪役のように変貌する。
直立するメイの全身を映すシーンも結構あって、これぞ生物の中で唯一直立二足歩行をする人間様って感じがしてすごく良い。

ノアと洪水。それを眺めるメイ。神のような傲慢さ。
人間とエイプは共存できるのかというノアのセリフの後に、メイが隠し持つ銃を見せるカットを挟む。エッジが効きすぎている。凄まじい。

ラストに、知能あり人間が地下みたいな基地で生き延び続けていたことが発覚。他の基地との通信が可能になるというシーン。人間側から見れば、これほど心強いものはないだろうという感動的なシーンであると同時に、エイプからすれば、人間が大きな集団で団結することを示唆する恐ろしいシーンでもある。

いやほんと素晴らしい。続編にも期待ではあるが、ただ、ここからまた限界集落の人間vsエイプの話になるなら、それはシーザー三部作と似たようなことをまたやることになるのでは。

あと、本作はオリジナル1作目のオマージュが結構あったね。前半の野生人間がエイプに狩られるシーンとか、オリジナルでもあったシーン。人間が網にかけられて捕えられる様子はなぜあんなに面白いのか。
貯蔵庫もオリジナル1作目の洞窟ってコトなんだろうね。お人形もあったし。

猿に人間は知能低い生き物だとか言われる『猿の惑星』特有のシーンも多めで楽しい。

なんだか知らんが『猿の惑星』リブートシリーズかなり好きである。続編に期待。