このレビューはネタバレを含みます
現代美術館で展示される映像作品のようなアート寄りの映画だった。
ホロコースト、アウシュビッツに関する史実の知識があってあらすじ以上の情報を仕入れた状態で観ると、悪く言えば、観た人全員が同じ感想にならざるを得ない、監督が受け取って欲しいメッセージが非常にはっきりと伝わる、解釈の余地のない映画だった。
逆に、何も知らずに観ると、鑑賞中に感じる違和感を後から調べて補完してその意味に気づいて初めて恐ろしさを味わえると思う。
映像表現、音響表現は独特なので他の映画では味わえないインパクトがあって良かった。
そして、エンドロールの曲が怖すぎる。
人の叫び声のようなボイスが乗った、ずっと聴いてると頭がおかしくなりそうな、不穏で不安定なリズム。
今敏監督の『パーフェクト・ブルー』で未麻の幻影が登場するシーンでかかる、人の声をサンプリングしたBGMを少し思い出した。
あちらは全然かわいいもんだけど…。