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関心領域のaiのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
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音に引き込まれる映画だった。
オープニングから真っ暗、どこか異次元に連れて行かれるような音だけが響く。
平和な日常シーンの背景から聞こえる叫び声、銃声…常に想像力を掻き立てられる。

ストーリーは正直これといって何も起こらない。残虐なシーンもなく、絵面は単調。
アウシュビッツ収容所の壁一枚を隔てた場所で子供たちや犬が無邪気に遊び暮らす日常の姿。これを退屈だと感じてしまうのが、まさにこの映画の狙い通りだったのかもしれない。
このドイツ人一家の姿はまさにお前たちだと見透かされているようだった。

彼らはユダヤ人をネタにしたり、子供たちですら何が起きているのかは薄々わかっている素振りだった。決して完全なる無関心ではない。

人は自身の関心の範囲内で生きていて、関心領域"外"は見えていても見ていない。
だから彼らが特別残酷な訳でもなく、誰しもが彼らであると言える。
この状況が恐ろしいと感じるなら、普段が無自覚過ぎると思う。

私が何より不快だったのはユダヤ人を病原菌のように扱っていたところ。
暗視カメラを使った表現など面白い技法もあった。

2024年、25本目。
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