このレビューはネタバレを含みます
直接的な惨い映像はないのに、聴こえてくる人の声や銃声、川に流れる灰、子どもが集めている歯等から、収容所の存在を感じさせられる。
そして、ここに住み続けたいという妻、これが当たり前になっている子ども、何食わぬ顔で焼却炉の話をする。パーティーをみながら毒ガスのことを考える。
この環境が当たり前になっていて、淡々と裕福な一家の日常が過ぎていく。なにもかも異常だった。
節々に現れるその異常に気づかなければ、一見穏やかな日常の映像が流れ続けるだけ。私自分自身も無関心なのではないかと問われている感じだった。
最後のルドルフが嘔吐くシーンから、少なくとも彼の100%が異常になり切っているわけではないと分かってよかった。
現代の映像は、その異常に気づいている第三者は忘れないということ、自分自身がどれだけの物事に関心を持てているのかという問いを感じた。
難しいながらも、余韻と考察に色々考えさせられる映画だった。