水面のきらめきがタルコフスキー『僕の村は戦場だった』を連想させてくるほど美しく眼福だった。弟にジャンケンしようと自分から提案したくせに三回連続で負けたら「もういいよ」と余裕ぶりながら不貞腐れる少年のいかにも長男的な子ども臭さが愛しい。女性に質問責めする弟を注意したあと、女性が「かわいいものよ」とフォローするやいなや「弟は物じゃない」と言い返す辺りににじむ絶妙な兄貴感も忘れがたい。父親が橋からボートへ渡ろうとして案の定水にドボンするくだりのスリリングな動きは『ルナ・パパ』のアクションの萌芽っぽくて機関車の映る場面以上に楽しかった。