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愛にイナズマのfilesのネタバレレビュー・内容・結末

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

★おもいっきりネタバレなので、未見の方はここでSTOP★

「母が理由なく消えた」と話す花子に、「映画にするなら、観客が納得しやすい理由を付ける必要がある」と答えた助監督の荒川。
そして、最後の方で、食堂の店主の則夫が、消えた理由をよどみなく話す。綺麗な対になっている。とってつけたような理由なのに、それでも、則夫の一言で緩和する、家族の関係性。

荒川の振る舞いの是非はともかく、皮肉にも荒川の言うとおりなのだ。
携帯ショップの店員と振り込め詐欺の計画者の行動も綺麗すぎる対。

花子の映画制作の動機が私小説づくりなら、今、手がけている映画を作り終わったあと、次の映画を作れるのだろうか。
折村家の娘として存分に家族に向き合った彼女が、社会人として、荒川や原の言葉の意味(重みはないが、それなりの経験値に基づいた内容)に気づくときはくるのだろうか。

この映画自体は、理由のあるなしを超越したところで作られている。花子とちがい、自分の体験を上手く他人の人生に織り交ぜて表現できる石井監督の手腕に恐れ入るしかない。花子、石井監督のようになれるといいね。
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