千年女優

愛にイナズマの千年女優のレビュー・感想・評価

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
4.0
上京して夢を追う駆け出しの映画監督で、コロナ禍で生活苦に陥るも自分の家族を描いた企画が通ってデビューの準備を進める折村花⼦。ところが助監督に立場はおろか脚本まで奪われた彼女が、緊急事態宣言下で出会った舘正夫と実家に戻り、母の失踪以来問題を抱える父と二人の兄から成る一家をカメラに収める様を描いたドラマ映画です。

近年は自らの持つ問題意識へアプローチする「剥き出し」をテーマとする日本アカデミー賞監督の石井裕也がオリジナル脚本で制作した作品で、『茜色に焼かれる』でも描いたコロナ前後の人の営みを、同年に公開した『月』と同様に主人公を自らに手繰り寄せ、松岡茉優、窪田正孝、池松壮亮、若葉竜也、佐藤浩市ら豪華キャストで描きます。

過剰に不幸を浴びせる相変わらずの詰込式作劇で、映画監督を主人公に自らへの批判を先出しする物語は言い訳めいていて、映画だコロナだ家族だ神だとお題目を掲げてただ自分に酔いたいだけのキャラを個性派を揃えてのドヤ顔演技で表現するあからさまはとてもダサい。それでも、だから、このどうしようもなさがたまらなく愛おしいです。
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