岩嵜修平

愛にイナズマの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
3.8
最近の石井裕也監督作品にはハマれていなかったが、完全オリジナルの本作は良かった…!松岡茉優×窪田正孝の圧倒的な迫力に、老いた佐藤浩市が絶妙な味わいを加え、無感情な池松壮亮×若葉竜也が見せる感情に泣かされる。仲野太賀に趣里に高良健吾に北村有起哉などチョイ脇も贅沢。

コロナ真っ只中の真っ当な怒りが画面に刻印されている。主人公が駆け出しの映画監督ということで、石井監督自身の映画業界に対する怒りも、そこかしこに見える。純粋な2人の必然的な出会い。関係性は、撮影者と被写体から始まり、徐々に変わっていく。撮れなかったから撮れたもの。人生に必要なこと。

長男が資本主義を、次男が宗教を体現しているのも興味深い。良心たる父親と、自由な母親という設定自体は気になった(しかも男性監督)が、最終的に複雑な背景も含めて納得させられる。シリアスな話になりかねないのに笑いに溢れているのも印象的。序盤の変なリズム感も含めて、これが今の石井裕也か。
岩嵜修平

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